「前より疲れが抜けない」「仕事に集中しにくい」「夜の自信も落ちてきた」。
こうした変化が重なると、男性更年期という言葉が気になるかもしれません。
ただし、疲労感や不眠、気分の落ち込み、性欲の変化は、LOH症候群だけに現れるものではありません。
年齢や症状の数だけで「男性更年期だ」と決めるのは難しく、医療機関では症状と検査結果を合わせて判断します。
この記事では、LOH症候群の基本と、受診を考えるときに整理しておきたいことをまとめます。
結論|男性更年期は年齢やセルフチェックだけでは判断できない
LOH症候群は、加齢に伴うテストステロンの低下と、それに関連する症状を医療機関で総合的に評価するものです。
「40代だから男性更年期」「性欲が落ちたからテストステロン不足」と一つの条件だけで決めることはできません。
- 疲労感や気分の落ち込みなどが続き、仕事や日常生活に影響している
- 睡眠、性欲、朝の勃起など、複数の変化が気になっている
- 生活を見直しても不調が続き、原因を一度整理したい
このような場合は、ネット上のチェック結果だけで結論を出さず、泌尿器科や男性更年期を扱う医療機関へ相談する選択肢があります。
LOH症候群とは何か
LOHは「Late-onset hypogonadism」の略で、日本語では加齢男性・性腺機能低下症と呼ばれます。
日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会の診療の手引きでは、テストステロンの低下に関連する症状を伴う状態として扱われています。
一般に使われる「男性更年期」は幅の広い言葉ですが、LOH症候群は医療機関で評価される医学的な概念です。
女性の更年期のように、誰にでも同じ年齢で同じ変化が起こるわけではありません。
テストステロンの変化には個人差があり、症状の出方にもばらつきがあります。
気になる変化は3つの面から整理する
日本メンズヘルス医学会は、LOHに関連して現れることがある変化として、身体面、精神・心理面、性機能面の症状を挙げています。
ここで大切なのは、当てはまる数を数えて自己診断することではありません。
いつから、どの程度、生活にどう影響しているかを言葉にするための整理として使います。
身体面の変化
- 疲れやすさや全身のだるさが続く
- 眠りにくい、途中で目が覚める
- 以前より体を動かすのがおっくうに感じる
精神・心理面の変化
- 気力が出ない、集中しづらい
- イライラや気分の落ち込みが増えた
- 仕事や趣味を楽しみにくくなった
性機能面の変化
- 性欲の低下が気になる
- 勃起の状態が以前と違う
- 朝の勃起が減ったと感じる
これらはLOH以外の体調変化、睡眠不足、強いストレス、服薬などでも起こり得ます。
一つ当てはまっただけで病名へ結びつけず、続き方と生活への影響を見ることが重要です。
セルフチェックは診断ではない
男性更年期の記事では、AMSスコアと呼ばれる質問票を見かけることがあります。
質問票は症状を整理する助けになりますが、点数だけでLOH症候群かどうかを確定するものではありません。
日本メンズヘルス医学会も、症状の評価とテストステロン値などを合わせた総合判断が必要だと説明しています。
検査値にも個人差があり、採血した時間帯などの条件も関係します。
ネット上の基準値と自分の数値を並べて、治療の必要性まで自己判断しないようにしましょう。
受診を考えたいのは「生活への影響」が出ているとき
受診のタイミングを、症状の数だけで決める必要はありません。
次のように、仕事や家庭生活へ影響が出ているかを目安に考えます。
- 疲れや不眠が続き、仕事中の集中に支障が出ている
- 気分の落ち込みやイライラで、人間関係に影響している
- 性欲や勃起の変化が、自分やパートナーの悩みになっている
- 複数の変化が続き、原因が分からないこと自体が不安になっている
強い気分の落ち込みや「消えてしまいたい」といった考えがある場合は、男性更年期かどうかの確認を待たず、身近な医療機関や公的な相談窓口へつながってください。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSなどの相談先を案内しています。
何科へ相談すればよい?
性機能の変化やテストステロンについて相談したい場合は、泌尿器科や男性更年期外来が候補になります。
かかりつけ医がいる場合は、最初に普段の体調や服薬状況を知る医師へ相談しても構いません。
気分の落ち込みや不安、不眠が中心なら、心療内科や精神科など別の診療科が適切な場合もあります。
どこへ行くべきか迷う場合は、受診先へ事前に「男性更年期やLOHの相談に対応しているか」を確認すると話が早くなります。
日本メンズヘルス医学会は、都道府県から探せるテストステロン治療認定医の検索ページを公開しています。
受診前に7日間だけ記録しておく
診察で「なんとなくしんどい」と伝えるだけでは、変化の全体像を思い出しにくいものです。
完璧な健康記録ではなく、次の項目を7日間だけ残しておくと説明しやすくなります。
| 記録すること | 簡単な残し方 |
|---|---|
| 睡眠 | 就寝・起床時刻、夜中に目が覚めたか |
| 朝の感覚 | 休めた・普通・休めていないの3段階 |
| 疲労や気分 | 仕事や家事に影響した場面を一言 |
| 性機能の変化 | いつ頃から気になったか |
| 飲酒・服薬 | 飲んだ量、薬やサプリの商品名 |
症状が始まった時期、治療中の病気、服用中の薬、将来子どもを希望しているかなども、診察で重要な情報になることがあります。
恥ずかしく感じる内容でも、医師にはそのまま伝えて大丈夫です。
睡眠を記録する方法は、次の記事で7日間の形にまとめています。
→ 40代の睡眠時間は何時間が目安?朝の休養感と7日間の見直し方
サプリメントだけで判断を先送りしない
疲れや性欲の変化が気になるとき、先に活力系サプリを試したくなる人もいるでしょう。
ただし、健康食品はLOH症候群の診断や治療の代わりにはなりません。
不調が続いているのに、サプリメントを替えながら様子を見るだけで受診を先送りするのは避けたいところです。
服薬中や治療中の場合は、健康食品を使う前に医師・薬剤師へ相談してください。
健康食品と医薬品の違いは、次の記事で整理しています。
→ 精力剤とED治療薬の違い|サプリ・医薬品の分類と購入前の注意点
よくある質問
Q. テストステロン値だけで男性更年期と分かりますか?
A. 数値だけで決めるものではありません。
症状、検査値、採血条件、ほかの体調や病気などを医療機関で総合的に評価します。
Q. 40代なら誰でも起こりますか?
A. 年齢だけで一律に起こるものではありません。
テストステロンの変化や症状の出方には個人差があります。
Q. 治療を受ければ必ず良くなりますか?
A. 治療の適否や期待できる変化は、原因、検査結果、持病などによって異なります。
ネットの記事だけで治療法を選ばず、医師と利点・注意点を確認してください。
まとめ|病名を当てるより、続く変化を相談できる形にする
LOH症候群に関連する変化は、疲労、気分、睡眠、性機能など広い範囲に及びます。
一方で、どれもLOHだけに現れる症状ではありません。
セルフチェックで病名を当てようとするより、いつから何に困っているかを記録する方が、次の行動につながります。
不調が続き、仕事や家庭生活へ影響しているなら、泌尿器科や男性更年期を扱う医療機関、かかりつけ医へ相談してください。
参考情報
- 日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」
- 日本メンズヘルス医学会「LOH症候群・男性更年期とは」
- 日本メンズヘルス医学会「テストステロン治療認定医について」
- 厚生労働省「まもろうよ こころ|困った時の相談方法・窓口」
確認日:2026年8月22日。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
個別の診断・治療については医療機関へご相談ください。
