最近なんかしんどい。
やる気が出ない。体が重い。朝起きるのがつらい。
以前は気にならなかったことがイライラする。
好きだったことに興味が湧かない。
仕事のせいか。睡眠不足か。加齢か。それとも病気か。
原因がわからないまま「まあそういう年齢だから」と流してきた。
でもその状態、男性更年期(LOH症候群)が原因かもしれない。
「男性に更年期なんてあるの?」と思う人もいると思う。
ある。女性ほど知られていないが、40代以降の男性に起きうる実在する状態だ。
この記事で症状・判断基準・対処法を整理する。
「自分がどの状態なのか」を把握するための材料にしてほしい。
LOH症候群とは何か
LOH症候群の定義
LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)は、加齢に伴うテストステロンの低下によって引き起こされる症状の総称だ。「男性更年期」とも呼ばれる。
(出典:日本泌尿器科学会 男性LOH症候群診療の手引き)
女性の更年期は閉経に伴うホルモンの急激な低下が原因だ。
男性の場合は急激ではなく、テストステロンが緩やかに・じわじわと下がっていく。
だから「いつから調子が悪くなったか」が自分でもよくわからない。
その曖昧さが「気のせいかな」と放置させやすい原因になっている。
なぜテストステロンが下がるのか
男性のテストステロンは20代をピークに、30代以降は毎年約1〜2%ずつ低下していくとされている。
(出典:Feldman HA et al., J Clin Endocrinol Metab, 2002)
加齢による低下は避けられない。
ただし加齢だけでなく、以下の要因で低下が加速する場合がある。
- 慢性的なストレス
- 睡眠不足・睡眠の質の低下
- 肥満・運動不足
- 過度な飲酒
つまり「加齢は避けられないが、生活習慣による低下は対処できる」という話だ。
同じ年齢でもテストステロンの状態が大きく異なるのはこのためだ。
LOH症候群の症状チェックリスト
以下の症状が当てはまるかを確認してほしい。
3カテゴリに分けて整理した。
身体的症状
- 慢性的な疲労感・だるさが続いている
- 筋力・体力が以前より落ちた
- 体脂肪が増えた(特に腹部)
- 関節や筋肉の痛みを感じやすくなった
- 汗をかきやすくなった・ほてりを感じることがある
精神的症状
- やる気・意欲が出ない
- 集中力が続かない
- 気分が落ち込みやすくなった
- イライラしやすくなった
- 以前楽しかったことが楽しめない
性的症状
- 性欲が低下した
- 朝立ちが減った・なくなった
- 勃起力・持続力が落ちた
合計で3つ以上当てはまる場合、LOH症候群の可能性がある。
ただしこれはあくまで目安であり、チェックリストだけで診断することはできない。
「当てはまる項目が多い」という状態を、次のセクションの判断基準と合わせて確認してほしい。
LOH症候群と「ただの疲れ」の違い
「病院に行くべきか、様子を見るべきか」という判断が一番難しい。
以下の基準を参考にしてほしい。
ただの疲れとの違い
| ただの疲れ | LOH症候群の可能性がある状態 |
|---|---|
| 休めば回復する | 休んでも回復しない |
| 数日で元に戻る | 2週間以上症状が続いている |
| 一つの症状だけ | 複数の症状が同時に出ている |
| 日常生活は問題ない | 仕事・家庭・性生活に支障が出ている |
受診を検討するタイミング
上の表の右側に当てはまる項目がある場合、泌尿器科または男性更年期外来への相談を検討してほしい。
血液検査でテストステロン値を測定することで、LOH症候群かどうかの判断材料が得られる。
検査自体は採血だけで終わる。難しい準備は何もない。
「受診するほどでもないか」と思って放置するより、一度数値を確認する方が自分の状態を正確に把握できる。
「数値を見て問題なければそれで安心できる」という使い方でもいい。
LOH症候群の治療法
治療の選択肢を整理する。
どれが正解かではなく「こういう選択肢がある」という紹介にとどめる。
テストステロン補充療法(TRT)
医師の診断のもとで行うテストステロンの補充治療だ。
注射・ゲル・貼付剤などの形で投与する方法がある。
症状が改善したという報告がある一方、副作用リスクもある。
前立腺への影響・多血症などのリスクが指摘されているため、定期的な検査が必要になる。
必ず医師の判断のもとで行う治療であり、自己判断での実施はできない。
「精力剤を飲むのとは全く別の治療法だ」という点は明確にしておく。
生活習慣の改善
軽〜中程度のLOH症候群の場合、生活習慣の改善だけで症状が緩和するケースがある。
具体的には以下の4つが基本になる。
睡眠の質を上げる
テストステロンは睡眠中に分泌される。
睡眠の質を改善することがテストステロンの底上げに直結する。
詳しくは「40代男性の睡眠とテストステロンの関係。」で整理している。
週2〜3回の適度な運動
特に筋トレ(スクワット・デッドリフトなど大きな筋群を使う運動)はテストステロンの分泌を促す効果があるとされている。
激しい運動は必要なく、週2〜3回・30分程度から始めるだけで変化を感じる人が多い。
節酒
過度な飲酒はテストステロンの代謝を阻害する。
「毎日飲む」から「週3日に減らす」だけでも影響が出る可能性がある。
ストレスの管理
慢性的なストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)を増加させ、テストステロンの産生を抑制する。
ストレスをゼロにするのは難しいが、「逃がす仕組み」を意識的に作ることが現実的だ。
精力剤との関係
「精力剤でLOH症候群は対処できるのか」という疑問に正直に答える。
精力剤で対処できる範囲
軽度のテストステロン低下・血流の低下・疲労感という状態には、精力剤の成分(亜鉛・マカ・L-シトルリンなど)がサポートになる可能性がある。
「完全なLOH症候群ではないが、最近なんか調子が落ちてきた」という状態の人には選択肢になる。
生活習慣の改善と組み合わせることで、変化を感じやすくなるケースがある。
精力剤で対処できない範囲
テストステロン値が医療的な治療が必要なレベルまで低下している場合、精力剤での対処は難しい。
「症状が重い・日常生活に支障が出ている」という状態なら、精力剤より先に医療機関への相談が先決だ。
正直な結論
「LOH症候群かもしれない」と思っているなら、精力剤を試す前に一度血液検査を受けることをすすめる。
数値を見た上で「医療的な治療が必要か・生活習慣改善と精力剤でいけるか」を判断する方が合理的だ。
順番が逆になると、精力剤を飲み続けても変化が出ない期間が長くなる可能性がある。
精力剤の選び方については「精力剤の選び方【40代向け】失敗しないための3つの基準と商品別の向き・不向き」を参照してほしい。
精力剤とED治療薬の違いについては「精力剤とED治療薬は何が違うのか。」で整理している。
よくある質問
Q. 男性更年期は何科に行けばいいですか?
A. 泌尿器科が最も対応しているケースが多い。
「男性更年期外来」「メンズヘルス外来」を設けているクリニックもある。
かかりつけ医に相談して紹介してもらう方法もある。
「何科に行けばいいかわからない」という理由で受診を先延ばしにしている人は、まずかかりつけ医への相談から始めてほしい。
Q. 血液検査でテストステロン値はいくつ以下だとLOH症候群ですか?
A. 日本泌尿器科学会の診療手引きでは、総テストステロン値250ng/dL未満がひとつの目安とされている。(出典:日本泌尿器科学会 男性LOH症候群診療の手引き)
ただし数値だけでなく症状との組み合わせで診断するため、数値が基準値内でも症状がある場合は医師への相談をすすめる。
自分の数値が何を意味するかは、必ず医師に確認してほしい。
Q. 男性更年期は自然に治りますか?
A. 加齢によるテストステロンの低下は自然に回復するものではない。
ただし生活習慣の改善によって症状が緩和するケースはある。
「自然に治るのを待つ」より「何が原因かを把握して対処する」という姿勢の方が現実的だ。
Q. 20代・30代でもLOH症候群になりますか?
A. なりうる。
加齢だけでなく、極度のストレス・睡眠不足・肥満・過度な飲酒などによってテストステロンが低下する場合がある。
「若いからLOH症候群ではない」という判断は正確ではない。
年齢に関わらず、症状が続くようであれば受診を検討してほしい。
まとめ
「なんかしんどい」の正体がわかると、次の一手が見えてくる。
LOH症候群かどうかを判断するのは医師の仕事だ。
自分にできることは「症状を把握して、受診するかどうかを判断すること」だ。
受診を怖がらなくていい。
採血一本で自分のテストステロン値がわかる。
数値を知った上で「医療的な治療が必要か・生活習慣改善と精力剤でいけるか」を判断する。
それだけで、漠然とした「なんかしんどい」から具体的な対処に移れる。
40代の精力低下の原因については「40代の精力減退はなぜ起きるのか。原因を理解してから対策を考える」で詳しく整理している。
睡眠とテストステロンの関係については「40代男性の睡眠とテストステロンの関係。」を参照してほしい。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については必ず医師にご相談ください。
